テレスコープアレイ実験

テレスコープアレイ(TA)実験は、最高エネルギー宇宙線の性質を理解し、その起源にまつわる謎を解明する為に建設されました。 宇宙放射線(宇宙線)は、宇宙から地球に到来する、電気を帯びた微粒子(荷電粒子)です。そのなかでも最高エネルギーの宇宙線は、極めて稀にしか地球に到来せず、非常に大きな検出器を使って充分に広い領域を観測して、初めて捕えることが出来ます。 TA実験は 「地球」そのものを、大きな検出器として利用します。

TA実験で観測する最高エネルギー宇宙線は、最先端の科学技術によっても生成することのできない、巨大なエネルギー(10の20乗電子ボルト)を持った微粒子です。 このような宇宙線が地球に到来すると、大気上層部で大気分子の原子核と衝突して、沢山の二次的な粒子を生成します。 発生した粒子も巨大なエネルギーを持っていますから、雪崩のように原子核との衝突を繰り返して、最後には莫大な数の粒子を含んだ粒子のシャワー(空気シャワー)となります。 このシャワー中の荷電粒子が大気中を通過する時に、ちょうど蛍光灯の中で起こるように、大気分子を励起して眼に見えない紫外線を発生します。 シャワー中の粒子は、ほぼ光速で地表に降り注ぎ、シャワーの始まりから終わりまでは、10万分の数秒という一瞬です。

TA実験は、宇宙線の空気シャワーを、2つの異なった方法で観測します。 第一の方法は、地表面に1.2km間隔の網目状に設置した地表粒子検出器アレイです。 合計507台の検出器でカバーする地表面は 680 平方キロで、ほぼ琵琶湖の面積に匹敵します。 地表アレイは、粒子の正確な到着時間と密度を記録することで、シャワーを生成した宇宙線のエネルギーや到来方向を決定します。 

第二の方法は、地表アレイの上空を監視する3カ所の望遠鏡基地での観測です。 各基地には12-14台の大型反射望遠鏡が設置されていて、大気中を通過するシャワーから発生する、微弱な紫外線の「軌跡」を見つけて撮像観測します。 米国ユタ州中央部の砂漠地帯は、乾燥して透明な大気を持ち、人工光の影響の少ない夜空が非常に暗いため 「大気蛍光望遠鏡」による観測に最適です。

テレスコープアレイ(TA)実験は、2008年から観測を開始し、宇宙における最高エネルギー宇宙線の発生源を探索するとともに、宇宙空間や空気シャワー中で起こる極高エネルギーでの粒子反応を研究しています。 また、観測領域を10の17乗電子ボルト以下まで広げるTALE計画、シャワーから発生する電波の観測、宇宙空間からの大気蛍光の観測、地表でのスーパーTA計画などの将来の開発研究も推進しています。

TAは、日本・米国・韓国・ロシア・ベルギーの大学・研究所機関による国際共同研究です。